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「亜空間こねる」徹底解剖!『CONERU -DIMENSION GIRL-』ヒロインに込められた“キャラ愛”、そして「2Dアクションデート」のこだわりを開発者に聞いた【インタビュー】

「亜空間こねる」の魅力をお届けします。

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HIKEEallin Japanが手掛ける2Dアクション『CONERU -DIMENSION GIRL-』が2025年5月29日に発売。本作は「亜空間こねる」と「ソクラテス」のふたりがヘイトフルーツ・カンパニーと戦っていく横スクロールアクションです。

ただし、「亜空間こねる」「ソクラテス」ふたりのプレイアブルキャラをスイッチして戦うわけではなく「ソクラテスの中に亜空間こねるがいる」というまさに一心同体の“こねラテス”(作中でのふたりの呼び方)となって戦っていくのです!

本作の特徴のひとつは、その魅力的な「キャラクター」。実は、「亜空間こねる」はもともとSNSを中心に展開されていたキャラクターであり、今回ついにゲーム化に至ったという経緯があります。

もちろん、ゲームは独立したものなので、本作で「亜空間こねる」に初めて触れる人も楽しめるようになっています。

ただ、「亜空間こねる」というキャラクターについて深く知ることができれば、本作の楽しさも倍増するはず!

ということで本稿では、『CONERU -DIMENSION GIRL-』の「亜空間こねる」を徹底解剖。生みの親であるHYPERSPACE (Eallin Japan)氏の想いやこだわりが爆発したインタビューも交えて、「亜空間こねる」の魅力をお届けします。

『CONERU -DIMENSION GIRL-』
Steamストアページ

◆「亜空間こねる」って何者!?次元を渡る少女とデートする2Dアクション

『CONERU -DIMENSION GIRL-』は「亜空間こねる」というヒロインそのものに焦点を当て、その魅力を存分に引き出した作品です。元々、「亜空間こねる」はTwitter(現X)を中心に展開していたキャラクターです。2025年5月時点で、公式Xのフォロワーは5万人を超え、すでにファンも多く“こねるちゃん”として愛されています。

「亜空間こねる」は公式HPの言葉を借りるなら、「あらゆる物質に宿ることで、次元を超えたすべての時空を移動できる少女『亜空間こねる』は、地球観光を計画していた。次元旅行会社を通して受肉先が見つかり、その瞬間を待っていた」とのこと。実際にゲームでもゆるい感じで登場してくれます。

続くストーリーでは「いよいよ受肉の瞬間が訪れた。予定ではこの日生まれる有機生命体(猫やイルカ・人間)に宿るプランだったはずが、旅行会社の手違いで既に意識を持つアンドロイド『ソクラテス』に受肉してしまった」と描かれています。

ゲームでは、プレイヤーはこの「亜空間こねる」が受肉先として選んだ「ソクラテス」を用い、本作の敵である「ヘイトフルーツ・カンパニー」の面々と戦っていくことになります。受肉とか憑依とか、文章で書くとわかりづらいですが、視覚的には白いアンドロイドの外皮に二次元状態の亜空間こねるちゃんが投影されている感じ。「あ、中にいる!」とぱっとわかる絶妙な塩梅ですね。

ソクラテス=プレイヤーという感覚でプレイすることができ、亜空間こねるの(ビームなどを初めとした)サポートを受けながらゲームを進めていくというのが『CONERU -DIMENSION GIRL-』最大の特徴です。

筆者がプレイしたところで言えば、移動や攻撃はプレイヤー主導であるものの、強力な攻撃手段である“こねるんビーム”や「無敵状態」になれる“るんるんモード”などは、こねる主導(多少はプレイヤーが介入できる)なので、2人で戦っているという感覚が味わえます。

実はそこは開発陣の狙いでもあるのです。本作のジャンルは「2Dアクションデート」。ヘイトフルーツ・カンパニーとの熾烈なアクションはひとつの要素であり、あくまで『CONERU -DIMENSION GIRL-』のメインは亜空間こねるちゃんとのデートなのです!

そこで、今回は亜空間こねるの可愛さや性格などを、生みの親であるHYPERSPACE氏に質問してみました。

――亜空間こねるはどのような経緯で生まれたのでしょうか。

HYPERSPACE:最初は完全なる思いつきでした。これまで「女の子」モチーフとちゃんと向き合ったことがなかったので、試しにちょっと作ってみようと思ったのが始まりです。脳内を通り過ぎたイメージをそのまま素直に視覚化してみようというところから始めました。

それで生まれたのが「亜空間こねる」……というよりも「ソクラテス」と2人一緒になってる“こねラテス”の状態が最初のイメージです。そこから当時のTwitter上でGIF動画を投稿するなど、最初は個人で活動を始めました。所属しているイアリンにもその魅力を見出してもらい、自社IPとして試行錯誤しつつ育てていくに至りました。

HYPERSPACE:亜空間こねるは、太陽とか月とか土星とか、そういう天体のような趣や輝き、そして距離感を持つイメージがありました。なので視覚化する際は「かわいい女の子」「なんか宇宙っぽい」というわかりやすい外見的特徴を持ちつつもシンプルな造形で、生活感や性癖を極力感じさせないように気を使いました。

――確かに、キラキラしていて非現実的な可愛さがありますね。

HYPERSPACE:一般的に、キャラクターデザインには尖った特徴や性癖が重要だと理解しつつも、それとは真逆の、すべてのパラメータがちょうどいい真球のようなバランス感をなんとか視覚化できないかとめちゃくちゃ試行錯誤しました。

一番てこずった造形は瞳なんですが「特徴的で生気もちゃんと感じるが感情的な主張が読みきれない神秘性」を決定づけてくれたように感じます。「亜空間こねる」という名前を見つけるにも大変苦労しましたが、これ以外にはない正解を見つけることができたと思います。

◆そんなところまで!? キャラクター性がすぐにわかるモーション

――ゲーム内のモーションもかわいいですよね。しゃがんでいる時にソクラテスを見上げるところとか。

HYPERSPACE:モーションのひとつひとつにそれぞれのキャラクター性や関係性を表現したつもりなので、そこも楽しんでもらえるとうれしいです。

二人の会話では、それぞれがなんとなくソクラテスは下を向くし、こねるはなんとなく上を向く。しゃがみモーションも、ソクラテスはヤンキー座りなんですけど、こねるの座り方は足を閉じてたり……みたいな違いも表現しています。ゲームの本質的な面白さに直結するところではないのですが、プレイヤーの体験としても、キャラの表現としても大切にしています。ゲームは「プレイヤーの操作で完成する映像作品」だとも思っているので、そのパーツとしても非常に重要なものだと考えています。

――走っているときに、常にこねるが笑顔なのも印象的でした。

HYPERSPACE:走ってる時に笑顔なのは、まさしくそういったこだわりの中のひとつです。こねるは走るだけでうれしい、たのしい、という性格なので、ランモーションが笑顔っていうのは、自然と決まっていました。被ダメージのモーションの際も、ソクラテスはこねるを守るような体勢を取っていて。瞬間こねるは目を閉じているんですけど、何フレームか過ぎた時にそのソクラテスの意識がこねるにも伝わっているような表情を一瞬見せたり…(カメラシェイクとかも入るんで、ほぼ視認できないかもしれませんが…)

『CONERU -DIMENSION GIRL-』
Steamストアページ

◆“2Dアクションデート”をとことん追求したゲーム性

記事冒頭でもお伝えしたように、本作は「ソクラテスとこねるの体験を通じて、ふたりの関係値を育てるデート」をテーマにした作品。

プレイヤー主導のアクションと、こねる主導のアクションに分かれています。強力なビームの種類はこねるが自由にチョイスしちゃいますし、本作の広大なマップを無敵状態で爆走できる“るんるんモード”に突入するのも「こねるのテンションが上がった時」という独特なシステムになっています(ある程度のコントロールは可能ですが)。

不思議なもので、そうしていくうちに「こねるちゃんの状況はどんな感じだろ」と考え始めていくのが本作の妙。システムがデートというイベントと一致しているのです。「こういうゲームを開発したい」ではなく「亜空間こねるをゲームで表現したい」という考えから本作が生まれているため、良い意味で独自性のあるゲームになっているのです。

そのゲーム開発の裏側もHYPERSPACE氏に聞いてみました。

――ゲーム化の経緯について教えてください。

HYPERSPACE:Twitter(X)でずっと活動していく中でフォロワーが増える一方で、ちょくちょく「結局どういうコンテンツなの?何がしたいの?」という、煮え切らなさを感じているような意見も多くあったんです。その答えは“キャラクターそのもの”ではあるんですが、一般的なコンテンツフォーマットに落とし込む意義について考えるようになりました。

そして“こねラテス”という二心同体の特殊性や魅力を「一般的なフォーマットを介したエンタメコンテンツにする」というお題に対して自分のスキルの手札も鑑みて熟考した結果、初手「体験」つまりはゲームだという答えが出ました。キャラ自身になってもらうことが一番だなと。

ゲームシステムの根幹のアイデアについては、コンセプトが「こねラテス」である以上自分で考えるしかないし、なんだかんだゲームで最も大事だと思っているビジュアル面や”触り心地”を司る部分(アニメーション・テンポ感・エフェクト・SEなど)については、映像制作の経験を存分に生かせるはずだと思ったので、ゲームにするということに迷いやためらいはありませんでした。一方で、それらを実際に動くように実装する部分に関してはお手上げだということもわかっていたので、共同開発してくれる相手様が絶対に必要でした。

というわけでまずは自分たちでできること・企画書やゲーム風にキャラが動いてる動画とか作成して、いろんなゲーム会社さんに相談するところから始めました(相手が見つかるまで100社でも回る覚悟でいました)

結果的には、HIKEさんがその熱に共鳴してくださり「映像制作会社×ゲーム会社」という(意外と例がない?)異色の共同開発が始まり、ここに至るという感じです。客観的に見てもかなりクレイジーでレアな座組だなあと思うので、うちのボスもHIKEさんのボスもクレイジーな人でよかったなあと思います。頭があがりません。

――なぜ2Dアクションというジャンルに?

HYPERSPACE:そもそも好みのフォーマットであるというのは絶対影響していまずが、基本自機の顔が見えるフォーマットであるというのが一番大きいです。

個人的にストリートファイターなどの2D格闘ゲームも好きなんですが、操作しているキャラの表情がしっかり見えるのは自分のゲーム体験にとって、そもそもの重要な部分でもあるんだと思います。

あと2Dというワードが「こねるの次元」と「ソクラテス(プレイヤー)の次元」が同居するという点でダブルミーニングにもなるので、2Dアクションしかない!とかなり早い段階で決めていました。

――ジャンルに含まれている“デート”という点も詳しく教えてください。

HYPERSPACE:デートという言葉の意味に含まれる様々な要素の中でもとりわけ特徴的な「二人一緒に行動すること」と「相手という不確定要素がある」という点を抽出してシステムアイデアに落とし込んでいますが、基本的にプレイヤーの思い通りに動かせるはずのゲームでそこをどうバランスとるかにはめちゃくちゃ気を使っています。

ゲームとしての自由度をプレイヤーとこねるでどう分配するか…?作り手の表現欲求と、受け手の操作欲求(想定)のバランスともいえるかも…?こねるの自由度=不確定要素によってデートを表現しつつも…?こねるに自由度を持たせすぎると製品としてのストレスにもつながる…?みたいな感じで。

デートっていうのは相手がいるものなので、すべて片方の予定通りにいくものじゃない。いろんなところにランダム性があって、計画的に行くこともあれば、どちらかの突発的な欲求にどちらかが付き合ってあげるっていう場面もあると思います。

一例を挙げると、こねるがドーナツを食べると発動する「るんるんモード」は爆発的な機動力を制御しきれない(難しい)その代わりに無敵&超火力、任意のタイミングでの発動する機能はないけど、そこにあるドーナツを食べるか否かの自由はプレイヤーが持っているという塩梅になっています。デート中に「ドーナツ食べよっか」って提案することはあっても「予定が崩れるので今はるんるんしないでください。落ち着いてください」「さあ今です。今るんるんしてください」なんて言わないと思うので。

HPが少ない状況だと非常に助かる「るんるんモード」

――るんるんモードに入ると高速で動けるようになり、ステージをショートカットできたりしますね。

HYPERSPACE:「るんるんモード」の状態でこねるをどこに連れていくか「じゃあとりあえずもう勢いのまま先に進んじゃおっか」なのか「目に入った敵を手当たり次第にふっ飛ばそうぜ」なのか。これはもうプレイヤーの操作の自由です。るんるんするのはこねるの自由、どう付き合うかはプレイヤーの自由というバランスです。

――プレイヤーのストレスにならないように、デートという表現、システムにこだわっているわけですね。

HYPERSPACE:あらゆるシステムやアイテム、マップなど、どんな要素に対しても、アイデアに詰まったり判断に迷ったときには「これは2Dアクションデートであり、人が触る製品である」という物差しで解決法を導き出しています。「2Dアクションデート」というコンセプトが一貫していることは間違いないと思うので、ぜひプレイで体感いただきたいです。

――最後にこれからゲームをプレイするユーザーに向けて、メッセージをお願いします。

HYPERSPACE:『CONERU -DIMENSION GIRL-』は○○ライクとスッと分類しにくいゲームかもしれません。「知らない味のゲーム」という意味では、飛び込むのにある種勇気がいるかもしれませんが、ピンと来たならその直感に間違いはないと思うので、こねるのアクションデートに付き合ってあげてください!きっと、あなたとこねるだけの記憶に残る一瞬が、デートの最中生まれると思います。そしてその一瞬を生み出すことが、このゲームの真意でもあります。


おそらく、『CONERU -DIMENSION GIRL-』で亜空間こねるとソクラテスの2人をはじめて見た方は「奇抜なデザインの作品」と感じるはず。確かに尖った設定で、エッジの効いたゲームであることは間違いありません。しかし、奇抜さを狙った作品ではなく、亜空間こねるというキャラをいかに動かすかというのを徹底的に考えられたゲームなのです。

実際、筆者がゲームをプレイして感じた感想も、まごうことなく「アクションデート」でした。想像通りにアクションの予定が立てられなくても「それが本作の魅力だ」と楽しめるのが『CONERU -DIMENSION GIRL-』の凄みです。

本稿は「亜空間こねるってどんなキャラ?」というところに焦点を当てましたが、ゲームシステムも見事です。そんなゲームの企画段階から伴走して、HYPERSPACE氏と共にゲームの根幹を一緒に練り上げ、Unityでの開発全般でゼロから一緒にシステムを作り上げてきたのがHIKE。同社の担当者によると、HYPERSPACE氏とは、やりたいことをかみ砕いて現実にゲームで遊べる形にしていく中で、ユーザーを置いてけぼりにしてしまったりはしていないかなどを何度も話し合いながら丁寧に開発を進めてきたといいます。また、東京ゲームショーや東京ゲームダンジョンといったイベントにも積極的に参加。ユーザーからのフィードバックを開発に活かしつつ、グループ会社と協力してデバッグも実施して精度を高めてきました。

そうして完成した本作は「こねるというランダム性」はほんのり緩いローグライトを感じさせてくれますし、何より「キャラを好きになる仕掛け」で満ちています。それは亜空間こねるというキャラはもちろん、ソクラテスにおつきみ博士、市長にヘイトフルーツ・カンパニーの面々まで……。

『CONERU -DIMENSION GIRL-』は類似ジャンルがあまり見つからないほど、キャラ愛に特化した作品。亜空間こねるという存在にピンと来たなら、その直感に間違いはないでしょう!

『CONERU -DIMENSION GIRL-』
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《高村 響》

ゲームライター(難易度カジュアル) 高村 響

最近、ゲームをしながら「なんか近頃ゲームしてないな」と思うようになってきた。文学研究で博士課程まで進んだものの諸事情(ゲームのしすぎなど)でドロップアウト。中島らもとか安部公房を調べていた。近頃は「かしこそうな記事書かせてください!」と知性ない発言をよくしている。しかしアホであることは賢いことの次に良い状態かもしれない……。

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